- ホーム
- お知らせ
- 2020年度のお知らせ
- 2020年5月24日 主日礼拝
2020年05月19日更新
2020年5月24日 主日礼拝
前 奏
讃 美 歌 56(1節と2節)
主 の 祈 (週報裏面)
聖 書 コリントの信徒への手紙一
16章12節
(新約p323)
牧会祈祷
説 教 「道を伝えて己を伝えず」
祈 祷 内田 知牧師
讃 美 歌 第二編 195(1節と2節)
献 金
讃 詠 545
祝 祷
後 奏
報 告
説教「道を伝えて己を伝えず」
アポロは学問都市アレクサンドリア出身のユダヤ人で聖書に精通する雄弁家でした(使徒18:24~)。パウロはコリントにテモテを派遣するに際して、アポロにも行ってもらおうとしきりに勧めたようです。「若いテモテを支えて欲しい」と思っていたのかもしれません。しかしアポロは「今は行かない」と判断します。「派閥争いの再燃」、すなわち「アポロ派」(1:12)を名乗る人たちが自分を抱き込もうとするかもしれない、それで「今はコリントから離れているのが賢明だ」と配慮したのかもしれません。...自分が影響力を持ち、人の上に立つことが出来る、これは魅力です。権勢欲は人間が最後まで抱き続ける欲望です。しかしアポロはそんなことより「教会の徳が立ち、キリストの栄光があらわされる」ことを第一としたのです。
またアポロはここで「自分が行けば、若いテモテがさぞやりにくかろう」と配慮したのかもしれません。自分が前面に出るどころか、自分を消すのがこのアポロだったのです。
考えてみれば彼は素晴らしい信仰者です。アポロが一番初めに聖書に登場した際(使徒18章)、彼は天幕作りのプリスキラとアキラ夫妻から、信仰についての忠言を受けます。その際、「聖書に詳しい雄弁家アポロ」は論戦を交えません。自分の欠けを指摘されてもムキになって反論せず、それを素直に認め、自分を変えるのです。
彼は「自分のメンツや立場など些細なことだ」と考えられる人だったに違いありません。というのは、大きな働きをした人であり、聖書について知識のある雄弁家、「言葉の人」であったにもかかわらず、聖書の中には彼の手紙も、彼の語った言葉も、何もないのです。彼は自分の痕跡を残しません。自分を捨て、自分を消すのです。
わたしたちは一体どんな日々を歩んでいるでしょう。自分の栄誉、栄光、立場を守るため腐心する日々を送っていないでしょうか。
聖書に精通し、雄弁家であったアポロ。しかし自らを何も語らないアポロ。わたしたちも自分が去った後、「自分」は何も残らない。ただキリストの香りをほのかに残す、そのような者でありたいのです。
すすんで汚れを着
対手の奥底より
ひかりあるものをひきいだす
さげすまれ
破れはて
忘れられ
ここに果たされるひとつの使命 (「雑巾」 菊名初枝)