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2010年6月号「祝福してくださるまでは離しません。」
「ヤコブと天使の戦い」シャガール(1887-1985)
すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。その人は言った、「夜が明けるからわたしを去らせてください」。ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。その人は彼に言った、「あなたの名はなんと言いますか」。彼は答えた、「ヤコブです」。その人は言った、「あなたはもはや名をヤコブと言わず、イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」。ヤコブは尋ねて言った、「どうかわたしにあなたの名を知らせてください」。するとその人は、「なぜあなたはわたしの名をきくのですか」と言ったが、その所で彼を祝福した。そこでヤコブはその所の名をペニエルと名づけて言った、「わたしは顔と顔をあわせて神を見たが、なお生きている」。こうして彼がペニエルを過ぎる時、日は彼の上にのぼったが、彼はそのもものゆえに歩くのが不自由になっていた。 (創世記32:23-31)
双子の兄弟がいました。兄の名はエサウ。弟の名はヤコブ。二人はあまり仲がよくありません。弟のヤコブは、兄のエサウと父のイサクを騙して、兄のエサウが受けるはずであった神さまの祝福を横取りしてしまいました。
騙された兄のエサウは、弟のヤコブを殺してやるとカンカンになって怒りました。それで、弟のヤコブは家から逃げ出し、遠く離れたおじさんの家で 20年もの長い間一生懸命働きました。結婚して12人もの子どもが与えられ、たくさんの羊や馬を飼う大金持ちになりました。とっても幸せです。
でも、お兄さんのエサウやお父さんのイサクのことが気になって仕方ありません。 そんなある日のこと、神さまの声が聞こえました。 「ヤコブよ、生まれ故郷に帰りなさい。わたしはあなたに幸いを与える。」 神さまの言葉に従って、ヤコブは20年ぶりに家に帰る決心をしました。でも、お兄さんのエサウのことを思うと、怖くて怖くてたまりません。 「どうしよう、今でもずいぶん怒っているに違いない。」 この川を渡ればいよいよ故郷の家という場所に来て、家族を先に渡らせ、ヤコブは一人になってお祈りをしました。心配で、不安で、しょうがなかったのです。
その夜、ヤコブは不思議な体験をしました。ヤコブは神さまの使いと取っ組み合いをしたのです。長い取っ組み合いの後、神さまの使いは「夜が明けるから、離してくれ。」と言いましたが、ヤコブは「わたしを祝福してくださるまでは離しません。」と、太ももの関節を痛めてもけっして離しませんでした。この世での成功やお金よりも、いちばん大切なのは神さまの祝福であると気づいたのです。 朝になって、神さまの使いはヤコブに「イスラエル」という新しい名前を与えられました。これは、「神さまが共に戦ってくださる」という意味です。
心配なとき、不安なとき、怖いとき、自分だけで戦うのではありません。神さまが共にいて、戦ってくださるのです。そのことを忘れてはいけません。 私たちは、そのイエスさまの十字架の死によって罪が赦されていることを信じて、神さまに感謝して歩んでゆきましょう。
(お話 油谷 順子)