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2010年9月号「しもべは聞きます。」
「祈るサムエル」レイノルズ(1723-1792)
わらべサムエルは、エリの前で、主に仕えていた。そのころ、主の言葉はまれで、黙示も常ではなかった。さてエリは、しだいに目がかすんで、見ることができなくなり、そのとき自分のへやで寝ていた。神のともしびはまだ消えず、サムエルが神の箱のある主の神殿に寝ていた時、主は「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。彼は「はい、ここにおります」と言って、エリの所へ走っていって言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。しかしエリは言った、「わたしは呼ばない。帰って寝なさい」。彼は行って寝た。主はまたかさねて「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。エリは言った、「子よ、わたしは呼ばない。もう一度寝なさい」。サムエルはまだ主を知らず、主の言葉がまだ彼に現されなかった。主はまた三度目にサムエルを呼ばれたので、サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。その時、エリは主がわらべを呼ばれたのであることを悟った。そしてエリはサムエルに言った、「行って寝なさい。もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。サムエルは行って自分の所で寝た。主はきて立ち、前のように、「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれたので、サムエルは言った、「しもべは聞きます。お話しください」。その時、主はサムエルに言われた、「見よ、わたしはイスラエルのうちに一つの事をする。それを聞く者はみな、耳が二つとも鳴るであろう。その日には、わたしが、かつてエリの家について話したことを、はじめから終りまでことごとく、エリに行うであろう。わたしはエリに、彼が知っている悪事のゆえに、その家を永久に罰することを告げる。その子らが神をけがしているのに、彼がそれをとめなかったからである。それゆえ、わたしはエリの家に誓う。エリの家の悪は、犠牲や供え物をもってしても、永久にあがなわれないであろう」。 (サムエル記上3:1-14)
サムエル君は、神さまのご用をする人になるために、エリさんに育てられました。エリさんは、年を取って、目も見えないおじいさんになっていました。サムエル君は、毎日、エリさんのお手伝いをしながら成長しました。
ある夜、サムエル君は、夜中に「はっ」と目を覚ましました。誰かが「サムエルよ、サムエルよ。」と呼んでいるのが聞こえたからです。サムエル君は「ここにおります。」と答えてエリさんの部屋へ行きました。ところがエリさんは「呼んでいないよ。戻ってちゃんと寝なさい。」と言いました。サムエル君は「おかしいなぁ、空耳かなぁ、夢やったんかなぁ。」と思いながら自分の部屋に戻って寝ました。ところが、しばらく寝ているとまた「サムエルよ、サムエルよ。」と呼んでいる声が聞こえるんです。サムエル君は「なんや、やっぱりエリさんが呼んでたんや。」と思ってエリさんの部屋へ行きました。ところがエリさんはまた、「呼んでいないよ。戻ってちゃんと寝なさい。」って言います。そんなことが三回続いた時に、エリさんは、「もしかしたら、サムエル君を呼んだのは神さまやったんと違うかなぁ。」と思って、「もし今度呼ぶ声がしたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください。』って言いなさい。」とサムエル君に教えました。またサムエル君が部屋に戻って寝ていると、また、「サムエルよ、サムエルよ。」という声が聞こえてきました。そこで、サムエル君は「しもべは聞きます。主よ、お話しください。」と答えました。神さまは言います。「エリの二人の息子たちが悪いことをしていることを私は知っています。礼拝で献げられたものをこっそり横取りしているし、戒めも平気で破っています。私はそのことをエリにも告げ知らせましたが、エリは、自分の息子がかわいいから一切息子たちを咎めようとせず、息子たちも罪を改めようとはしていません。だから私はこの三人を裁きます。」
サムエル君は、神さまがおっしゃる言葉を一言も聞き漏らしてはいけないと思い、しっかり聞いて、聞いたとおりきっちりとエリさんに伝えました。
神さまは、たとえ相手が子どもであっても、大事なことをきっちりとおっしゃいます。私たちに対しても、聖書の言葉を通して、あるいはお祈りを通して、大事なことをきっちりと伝えてくださいます。
神さまは、いつも私たちと共におられます。なのに、普段、私たちはついつい神さまのことを忘れています。たとえば、苦しい時、つらい時も、神さまは私たちに愛をもって慰めようとしておられるのに、私たちはみ声に気づかずに、聞き漏らしてしまいます。何かに悩んでいる時も、神さまは解決に導いておられるのに、私たちはみ声を聞き漏らしてしまいます。だから、いつも心を静かにして、「しもべは聞きます。主よ、お話しください。」と言って神さまとお話ししましょう。今までは気づいていなかったかもしれないけれど、神さまは、本当に私たちと共にいて、私たちに話しかけておられるのです。
(お話 忠岡 博)