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2012年7月号「あなたの信仰があなたを救った」
「跪く女性に話しかけるキリスト」パオロ・ヴェロネーゼ(1528-1588)
これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。(マタイによる福音書9:18-26)
イエスさまが大勢の人々にお話をしていました。その所に、ある指導者がイエスさまのそばに来て、ひれ伏して願いました。「自分の家に来て、死んだ娘に手を置いてやってほしい」と。この父親は絶望のどん底にいたのでしょう。けれども、絶望のどん底でただ唯一の希望がありました。イエスさまに、死んだ娘の上に手を置いてもらう。ただそれだけが唯一の希望だったのです。イエスさまは、この父親の願いを聞いてくださいました。立ち上がって、弟子たちにも付いて来させました。
そんな指導者の家に行く道の途中に、ずっと長い間病気で苦しんできた女の人がいました。女の人は、病気を治したくて、よいお医者さんがいると聞けばそこに出かけ、病気を治す良薬があれば買いに走り、また、身体に良いことも、12年もの間やり続けました。それでも、誰も彼女の病気を治すことができずにいたのです。そんな彼女がイエスさまに近づきました。
しかし、イエスさまの周りには、いつも大勢の人たちがいます。イエスさまを呼び止めることはできません。そこで彼女は、イエスさまの服のふさにでも触れたら病気が治るかもしれないと考え、服のふさに触れることができました。
イエスさまは、すぐに気づかれました。そして、彼女に言われます。「あなたの信仰があなたを救った」と。彼女がどれだけイエスさまのことを知っていたのか、信じていたのか、わかりません。けれど、イエスさまに希望を見て、イエスさまにすがったのです。そして、イエスさまはそれに応え、顧みてくださったのです。
その後イエスさまは指導者の家に着き、「この娘は死んだのではない。眠っているのだ」とおっしゃって、やさしく手を取られました。この出来事をあざ笑う人もいましたが、イエスさまはその人たちを外へ追い出しました。あざ笑う人たち、イエスさまに希望を見いだせない人たちを外へ追い出されたのです。
絶望の中でイエスさまに希望を見いだす人を、イエスさまは大事に受け止めてくださいます。わたしたちも、苦しいとき、困ったときはイエスさまにお願いしましょう。イエスさまは、きっと救いの道へ導いてくださいます。イエスさまにこそ、唯一の真の救いの道があるのです。
(お話 中野 康彦)