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2013年3月号「ペテロ、主イエスを知らないと言う」
「聖ペトロの悔悟」ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)
ペテロは外で中庭にすわっていた。するとひとりの女中が彼のところにきて、「あなたもあのガリラヤ人イエスと一緒だった」と言った。するとペテロは、みんなの前でそれを打ち消して言った、「あなたが何を言っているのか、わからない」。そう言って入口の方に出て行くと、ほかの女中が彼を見て、そこにいる人々にむかって、「この人はナザレ人イエスと一緒だった」と言った。そこで彼は再びそれを打ち消して、「そんな人は知らない」と誓って言った。しばらくして、そこに立っていた人々が近寄ってきて、ペテロに言った、「確かにあなたも彼らの仲間だ。言葉づかいであなたのことがわかる」。彼は「その人のことは何も知らない」と言って、激しく誓いはじめた。するとすぐ鶏が鳴いた。ペテロは「鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、外に出て激しく泣いた。 (マタイによる福音書26:69-75)
イエスさまが十字架にかけられることになる前の晩、ペテロさんはイエスさまに言いました。「たとえイエスさまと一緒に死ななければならなくなっても、イエスさまを知らないなどとは、ぜったい言いません」。 しかし、イエスさまはその後つかまって、裁判が始まりました。その時、ペテロさんの近くにいた女の人が、ペテロさんに向かって「あなたもイエスという人と一緒にいましたね。」と言いました。するとペテロさんは、「あなたが何を言っているのかわかりません。」と答えました。次に、また違う女の人が近くにいる人たちに「この人はナザレ人イエスと一緒にいました。」と言いました。ペテロさんはまた言いました。「そんな人は知らない。」ペテロさんは、だんだん追い詰められてきました。死刑にされそうなイエスさまの仲間だとわかったら、自分も死刑にされるかもしれません。しばらくすると、そこに立っていた人たちが近寄ってきて、ペテロさんに言いました。「たしかにあなたもイエスの仲間だ。言葉遣いでわかる。」ペテロさんは「その人(イエスさま)のことは何も知らない。」と必死で言いました。その時すぐ、にわとりがコケコッコーと鳴きました。ペテロさんは思い出していました。前の日の晩にイエスさまが言われたことを。「よくあなたに言っておく。にわとりが鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう。」
イエスさまは、ペテロさんの弱さを始めからよく知っていてくださいました。ご自分を裏切る弱いペテロさんをイエスさまはそれでも愛してくださって、その罪を赦すために十字架に向かって行かれたのです。
わたしたちも、ペテロさんと同じような弱さがあります。自分に都合が悪くなったら、神さまを知らないと言ってしまうときがあります。けれども、イエスさまは、わたしたちのそのような弱さをよく知っていてくださるのです。わたしたちには弱さがありますが、イエスさまは、そんな弱いわたしたちを、それでも愛してくださっているのです。だから、イエスさまは、十字架で死んでくださったのです。イエスさまの十字架の死は、弱いわたしたちひとりひとりを救うためだったのです。
(お話 油谷 和重)